上腕二頭筋長頭腱炎は、上腕二頭筋の長頭腱が炎症を起こし、肩の前面に痛みが生じる疾患です。長頭腱は肩関節で骨に付着し、腕の挙上や前腕の回外動作で重要な役割を果たしますが、繰り返しの負荷や不適切な動作で炎症が発生しやすくなります。テニスや野球などのオーバーヘッドスポーツでは、肩や肘の動作で負担が集中するため、この腱炎が発症しやすいです。
安静とアイシング
炎症が強い初期は、患部の安静を保ちつつ、1日数回、15〜20分のアイシングを行います。
上腕二頭筋のストレッチ
肘を伸ばして手のひらを上に向け、腕を体の後ろに軽く引くストレッチを行い、痛みのない範囲で腱を伸ばします。20〜30秒キープ、1日3セットを目安にします。
肩甲骨周辺のモビリティ改善
肩甲骨の可動域を改善するため、肩甲骨の前後や上下の動きを意識したエクササイズを行い、肩関節全体の動きがスムーズになるようサポートします。
神経筋の安定性トレーニング(PNF)
肩と肘の協調性を高めるため、PNF(固有受容性神経筋促通法)を利用します。肩の屈曲や外旋を組み合わせた運動で、無理のない範囲で動かします。
軽い等尺性運動
肘を90度に曲げた状態で、上腕二頭筋を静的に収縮させます(力を入れたまま動かさない)。10秒間収縮、10秒休憩を5〜10セット行い、痛みのない範囲で筋力を維持します。
エキセントリック運動(ゆっくりしたダンベルカール)
軽いダンベルを使用し、肘をゆっくり伸ばして筋肉を伸ばしながら負荷をかけます。エキセントリックな負荷により筋持久力と柔軟性を高めます。10〜15回を2〜3セット行います。
肩の外旋筋の強化
肩の安定性向上を目指し、セラバンドなどで肩外旋のトレーニングを行います。肩と肘を90度に曲げ、外旋方向にゆっくりと引っ張ります。10〜15回を1日2〜3セット。
軽いプランクや体幹トレーニング
肩甲骨周囲筋群と体幹を強化し、腕や肩にかかる負担を減らします。プランクを20〜30秒キープし、1日2〜3セット行います。